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乳がん診療

乳がん診療の実績

1995年より、この地域の乳癌(乳がん)患者様に対して東京女子医科大学東医療センター外科あるいは新八柱台病院にて乳房温存療法や乳房切除、形成外科との連携で再建術などを行ってまいりました。
2004年4月に女子医大より新八柱台病院に赴任し、乳腺外来を開設しました。乳癌の手術件数は開設年の2004年は38例、2005年は44例、2006年は86例、2007年は103例と増加しています。松戸市を中心とするこの地域の乳癌診療に役立ちたいという思いでやってまいりました。この4年間で乳房温存(乳房を残した)手術の割合は、72.4%と比較的高率で、乳房を残す治療を積極的に行なっています。昨年より、形成外科医の協力を得て乳房再建も行っており、乳房全摘となって乳房を喪失してしまう方でも、全く同じとはいきませんが、また乳房を取り戻すことができるようになりました。また、昨年より内視鏡補助下の乳がん手術を導入しており、乳がんの根治性を損なうことなく、より美容面で優れた治療が可能となりました。


センチネルリンパ節生検

がん(緑色)が最初に転移するリンパ節(青色)をセンチネルリンパ節といいます。
色素やアイソトープを使うことによって小さな切開でそのリンパ節を摘出して転移があるかないかを調べます。センチネルリンパ節には転移がなければ脇の下のリンパ節郭清は必要ないといわれています。これによって不必要な腋窩リンパ節郭清を避けることができ、腕の後遺症もほとんどなくなります。しかし、この方法の問題点は、実際には転移があるのにセンチネルリンパ節生検で転移はないと診断してしまうことです(偽陰性)。脇の下のリンパ節に再発してしまった場合は、「脇の下のリンパ節を切除する手術」すなわち「晩期郭清」が必要になります。ただその場合でも生存率に影響がなく、およそ2年前後で、その確率は5%程度と言われています。新八柱台病院の4年間で、手術前にエコー・CTなどで脇の下に転移がないと診断された患者さんにこの方法を説明し、77人に行い、同定率は98%でした。晩期郭清を行った方は1名(1.3%)でした。


監督:金沢大学医学部附属病院手術部助教授野口昌邦先生
指導:元千葉県がんセンター乳腺外科 現ブレストサービス社(代表)宮内 充先生


術前化学療法

手術の前に抗がん剤治療を行なってしこりを小さくしてから手術をする術前化学療法を積極的に行なっております。この2年間に同じ方法で術前化学療法を行った乳がん患者さんは24人いました。その中で浸潤がんが全て消失した方は9人で全体の37.5%でした。乳房温存療法が困難な患者さんでも温存術が可能となり、術前化学療法をやらなかったとしたら温存率が50%となるところが、83.3%にまでになりました。この他にも術前化学療法のメリットは多くあり、適合する患者さんにはお勧めしたいと思います。(「がん治療最前線」10月号vol.57, 2008年をご覧下さい)


乳房再建

できてしまった乳がんの性質や大きさ個数などから止むを得ず、乳房全摘となってしまう方に行なっています。胸の筋肉の裏側にティッシュ・エキスパンダーという生理食塩水の袋を乳房全摘したあとに挿入します。この袋に手術後少しずつ生理食塩水を注入して皮膚を伸ばして乳房に似た膨らみを作っていきます。ある程度膨らんだところで、袋をシリコンか自家組織(背中の筋肉かお腹の筋肉)で置き換えます。その後、乳頭の再建も可能です。
乳房温存が難しい方でも、乳頭を残すことが可能な場合、乳房の皮膚と乳頭を残して乳腺組織を全部切除する(乳房の中身をくり抜く)という手術方法もあります。この場合もティッシュ・エキスパンダーを入れて全摘の方と同じように再建をしますが、自身の乳頭が残るというメリットがあります。


内視鏡補助下乳がん手術

乳輪部切開のみで内視鏡を用いて乳房温存手術を行なっています。乳輪と白い皮膚との境目に沿って皮膚を切開するため、傷跡が目立たず、乳房の変形もより軽度となるため患者さんからもとても好評です。しかし、全員が対象となるわけではなく、しこりが皮膚に非常に近かったり、皮膚が凹んでいたり、乳輪が非常に小さかったりという場合は別な方法で乳房温存手術を行なうこととなります。


乳がんチーム

乳がんの患者さんを私たち「乳がんチーム」がケアしていきます。新たに結成された乳がんチームは、医師・看護師・診療放射線技師・薬剤師、6人で活動していきます。乳がんチームについては、「がん治療最前線」2006年10月号、"チーム ウィズ ザ ペイシェント"p92-96をご覧下さい。 新八柱台病院の時の経験を生かしてさらに特化したチームとしていきます。


外来化学療法

抗がん剤や抗体療法製剤による化学療法を受けることになった患者さんに専用チェアを用意し、医師-看護師−薬剤師の連携のもと治療を行っていきます。安全キャビネットを用いた薬剤の無菌操作、複数による薬剤チェック、専門医による点滴挿入、きめ細かな副作用対策などで安心して受けていただけるようにしております。


クリニカルパスの導入

乳がん手術にはクリニカルパスを導入しています。これによって外来(クリニック)−病棟−手術室の連携がとれ、患者様も時間軸に沿った治療の流れが理解しやすく、新松戸中央総合病院での治療も安心して受けられます。手術は私が執刀し、女子医大の外科チームと一緒に行います。病棟回診も一緒に行いますし、手術以外で入院が必要な患者さんも、女子医のチームとともに私も主治医となり、一緒に診療にあたります。


患者会

新八柱台病院で乳がん治療を受けた方の会ができました。患者さん達が「さくらんぼの会」という名前で患者会を立ち上げてくれて、年に数回の会合をもっています。同じ病気になった方の情報交換の場としてとても好評で多くの方が会合を楽しみにしています。
この度、松戸朋友クリニック・乳腺外科として場所は移りましたが、診療内容は変わることなく継続していきます。そして「さくらんぼの会」も継続していくこととなりました。